2月3日『十角館の殺人』(綾辻行人)
小説ねたばれなし感想メモ第二弾はこちら。
ハイ。
あらすじ↓
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!
私が読んだのは新装改訂版ですね。
「まだ読んでなかったのかよ」とか、「最初に読むべき一冊だろ」とか、そういうのは間に合ってます。私も読むのが遅かったなとうすうす感じています。そもそも私はミステリ初心者です。前提として。
登場人物は、角島を訪れるミステリ研の部員たち。
そして中村青司の弟である中村紅次郎の知人島田と、元ミステリ研の江南、そして守須。彼らは本島で、ミステリ研メンバーに届いた死んだはずの中村青司から届く手紙の謎を追う。
このミステリ研に所属している登場人物は、海外の著名作家のニックネームをつけて呼ばれています。
エラリイ、カー、アガサ、などなど。作品を読んだことはなくても一度は聞いたことのある名前ですね。
この文章を書いているときにはまだ中盤ですので、読み終わりの私のリアクションが楽しみですね。おおい、未来の私、見てる~~~~?!今どんな気分??
読後。
く~~~~~~~~っ気持ちいい!!!!!!!!!!!って感じです。
過去の私、今私は最高の気分ですよ。最高に気持よくだまされました。
そもそも私は推理小説、ミステリの類の本は一切推理をせずに読むのですが、なんとなくこの人怪しいな程度の認識はします。(もちろん外れる確率のほうが多い)
これはもう見事に読者の意表をついた最高のトリックだったと言えるでしょう。察しの良い人は、この人物がこうで、ああして関わっているのかな、というような予測を立てられるのかもしれませんが、この小説のトリックを完璧に推理できる人はきっと中村家関係者でしょう。そうに違いない。いやマジで。
私はこの、ミステリにおける「一行ですべてが覆される瞬間」、いわゆる「どんでんがえし」というのがたまらなく好きでありまして。
恥ずかしながら身をびくりとさせて一度本を置いてしまいました。
混雑しているマクドナルド内の出来事であります。落ち着くために飲み物を一口飲みましたが、まずい。しばらく放置していたものなので氷がとけていました。
その「一行」ですべて説明がついてしまったし、今までの描写の中にもきちんと伏線は貼ってあったのだ。と水の味がする何か奇妙な飲み物をすすり上げ、意を決して最後まで読み通したのです。すごい形相してたと思います、お隣の子連れママさん、子供に悪影響があったら申し訳ないです。この場を借りて私の顔面について謝罪したいと思います。
さておき。
そんな風に自分の認識をぐちゃっとされるのが好きな方は、読まねば損というものです。
「思い込み」と「ミスリード」、これをうまく利用しているのだなと感じました。
後から考えると「ううむ」と唸るような伏線があります。
クローズド・サークルだと聞いていたのですがこれは これはありなのか?
これが「必読」と言われるのもうなずける面白さでした。
余裕がある方はアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を読んでからだと倍楽しめるかもしれません。
はあ、面白かった…。
次はミステリはおやすみして、腐女子ならこの『十角館の殺人』並みに「必読」であると私が(勝手に)思い込んでいる長野まゆみさんの作品を読もうと思います。
いや、腐女子じゃなくても読め。あの耽美な世界はこの方にしか表現できないぞ。そんな作者さんです。